日本の小中学生、高校生の放課後の過ごし方。『クラブ活動』とは?

2018/09/21
  

あの灼熱の夏がうそのように、最近めっきり涼しくなり秋の気配を感じますね。
今夏の甲子園も日本中が沸き立つ展開となりましたが、青春時代を思い返し胸が熱くなった方、多かったのではないでしょうか!?
今回はそんな青春の1ページ、日本の『クラブ活動』についてご紹介します!

まず基本。クラブと部活動の違いは?

日本の学校には、授業以外にクラブ活動または部活動と呼ばれる団体での活動があります。
一般的に、小学校では「クラブ」、中高では「部活」と呼ぶようです。
日本の学校の部活動といえば、野球部・サッカー部・バスケットボール部・テニス部・囲碁部・軽音部などなど……。

このような一般的な部活でも、マンガ、アニメ、ドラマなどの人気作品がかならず当てはまります。先程挙げた部活でいうと、
野球=「タッチ」、「おおきく振りかぶって」、「Rookies」
サッカー部=「キャプテン翼」、「ジャイアントキリング」、「イナズマイレブン」
バスケ部=「スラムダンク」、「あひるの空」、「黒子のバスケ」、「ブザービート」
テニス部=「テニスの王子様」、「エースをねらえ!」
囲碁部=「ヒカルの碁」
軽音部=「けいおん!」、「BECK」等々!

学生時代運動部じゃなかったのに、やたらスポーツのルールに詳しい人がいますよね。(漫画って偉大!)ドラマでも男子がシンクロをする「ウォーターボーイズ」が当時ヒットし、多くのイケメン俳優を輩出しました。ほかにも漫画からアニメ化、ドラマ化された「ちはやふる」の影響で、かるた部が増えたようですね。(部活対抗リレーでは袴姿で走っていて、かっこよかったですね!)

漫画、アニメ、ドラマでは「こんな部活あったの!?」という部も取り上げられます。なぎなた部がテーマの「あさひなぐ」は、人気アイドルグループ乃木坂46さんによってドラマ化されました。

どんな年代の人でも幅広く愛されてきた部活がテーマのドラマやマンガ、アニメ。
汗、涙、友情、挫折、成長……数々の感動ストーリーの舞台となってきました。現実でも、学校生活のクラブ活動・部活動がそのまま青春時代の思い出に結びつくということも少なくないでしょう。

このようなクラブ活動、または部活動は、日本では「学校の教育活動の一環」であり、教職員の指導の下に活動するものと学習指導要領にて定義されています。
おおまかに運動系と文化系に分かれていて、その中から自分の興味のある活動を選んで入部しますが、小学校・中学校・高校ではそれぞれ少しずつ状況が違います。

 

小学校のクラブ活動

公立小学校では一般的に4年生以上の学年を対象に、週1回6時限目に実施されている必修の「クラブ活動」があります。基本的に学校の先生の指導のもと、卓球、サッカー、ダンス、手芸、料理、パソコンなどの活動が行われており、毎年、新しい学年が始まる時に入部したいクラブを選ぶことができます。人気のあるクラブは抽選になったりするようですが、4年生、5年生、6年生と3回チャンスがあるということですね。

最近では「プログラミング」の授業が小学校で行われるようになりましたが、クラブ活動でもプログラミングの教育に挑戦している学校もあるようです。

 

ところで…

「あれ?土日に小学校で子ども達が集まって、コーチとサッカーや野球をやっているのはクラブではないの?」

はい、土曜日・日曜日・祝日、学校によっては平日夕方などの下校時刻後、つまり授業時間外に行われている活動、ありますよね!

サッカー、野球、バスケット、バドミントン、バレーボール、はたまた理科クラブなど。これらはだいたいの場合、保護者を中心とするボランティアの運営で活動しているもので、小学校の施設を借りてはいるものの、学校の教育活動とは直接関係ありません。
所属しているのも、練習場所の小学校に通っている子がほとんどではありますが、通常は他の小学校の子どもでも入部歓迎です。

そういえば、私は手芸クラブでしたが、土日に理科クラブが「ラジオを作る」と言っていたのを聞いて「ど~~~しても参加したい!」と思い、先生に頼み込み、参加させてもらった覚えがあります。
あたたかく理科クラブのメガネくんたちに歓迎され、みんなで作ったラジオ。結局雑音しか聞こえなかったけど、楽しかったなぁ……。

また、運営の性質上、保護者による当番制のお手伝いなど、参加協力が欠かせないのも特徴のひとつかと思います。でもそのお手伝いから始まり、すっかり親の方が夢中になってしまって、自分の子が卒業した後もずっと残って指導している…そんなコーチや監督も珍しくありません。自分がかつて追いかけていた夢を子どもたちに託す。ロマンですね!

 

中学校・高校の部活動

中学校や高校の場合は「部活動」、略して「部活」は自主的・自発的参加の課外活動です。学校の授業が終わってから、主に週2~4回の活動をしています。
部活によっては「休みがない!」という子もいるようですが。(!)

入学してひと通り学校のオリエンテーションが終わると、各部活の部活紹介や勧誘というイベントがあり、その後「仮入部」という期間を経て、入りたい部活を決めたら保護者の承認付きの入部届を先生に提出することによって、入部となります。

部活にかかるお金は部によりまちまちですが、部全体で使用するボールなどの備品・用品の購入等にあてる部費や、ウエアやテニスラケットなど各自で購入する費用などがかかってきます。新品である必要はないので、尊敬する先輩が引退する時におさがりをいただいて大切に使う、という微笑ましいエピソードも。
エースの先輩から譲りうけたものは、持っているだけで力が湧いてきますよね!!

基本的には入学した時に入った部活を卒業まで続けますので、クラスの友達より、部活で知り合った友達と仲良くなり、学校の思い出の大きな部分を占めることも多いでしょう。

運動部では冒頭で例にあげたもの以外にも、バレーボール部、陸上部、水泳部、バドミントン部など、文化部では吹奏楽部、合唱部、理科部、家庭科部、美術部など、部活の種類も活動内容も、学校によって様々です。高校になると、さらにバリエーションが増え、弓道部、アメリカンフットボール部や英語部、クイズ部なども見られます。
懐かしの「ハモネプ」という番組では、コーラス部やアカペラ部から大会に出場していた高校生も多かったです。
最近では「BAZOOKA!!!」という番組の“高校生RAP選手権”という企画は高校生同士がフリースタイルラップでその実力を競い合う、別名“ラップの甲子園”と呼ばれる人気の企画ですが、もしかすると今後“ラップ部”なんていう部活ができちゃうかも!?(もうあるかもしれませんね!)

 

指導員のつぶやき「友達のいなかった生徒が……?」

A指導員が日本語指導をしていた中学2年生の女の子の話です。

「中国から来た当初クラスに友達もおらず、放課後も家でゲームをしたりマンガを読んで時間を過ごしていました。
ある日、学校の廊下の黒板に書かれている各部活動の連絡をみて「これどういう意味?」と聞かれたのでクラブ活動について説明しました。
翌週、また日本語指導に行くと「バスケットボール部に入部した」というのです。
あまり積極的なタイプではなかったので驚きましたが、背の高い子だったので顧問の先生に誘ってもらえたことがきっかけになったようです。

それからは日本語の上達がとても早く、バスケ部での出来事を沢山話してくれました。


中学2年生でしたが、途中から入部したので1年生と一緒に練習をして、体育会系らしい先輩と後輩の上下関係についてもよく学んでいました。
言葉が分からなくても一緒にバスケットボールをすることはできるので、朝練にも一生懸命参加して筋肉痛だと言いながら日本語のレッスンを受けていました。先輩の引退試合の後、特別にジュースとお菓子で乾杯したことも、いい思い出になったようです。」

 

日本語の上達も、学校生活が楽しくなるかどうかも、友達ができるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。同級生や先生方のサポートが、彼女にとっては大きな力になったと思います。日本語ができないから・・・といって距離を置くのではなく、勇気を出して見学に行ってみると新しい一歩が踏み出せるかもしれません。顧問の先生や部員の皆さんも、外国から来た子にもぜひ声をかけてもらいたいなと思います。

 

〇〇〇〇部活!?~かわりゆく部活動~

最近、「ブラック部活」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。

部活動でやっている競技の大会で勝つため、好成績を収めるためには、たくさん練習しなくてはならない。平日、土日と練習や試合に追われ、厳しい叱責を受け、休みたくても休めずに体調を崩してしまう ― 一方で、顧問の教員も本来の学校業務以外にかなりの時間を部活動指導や引率に取られ、過酷な勤務状態が常態化している ― そんな実態が問題視されるようになり、「ブラック部活」と銘打って様々な取材がマスコミ報道されました。

少子化への対応、働き方改革などの面からも、過剰負担の見直しが急務とされ、平成30年3月19日にスポーツ庁より中学校を主な対象とした『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』が策定・公表されました。

参考:http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/013_index/toushin/1402678.htm

  • 適切な運営のための体制整備

- 生徒の安全を確保し、教員の過度な負担とならないような体制を構築する

  • 合理的でかつ効率的・効果的な活動の推進のための取組

- 運動部顧問はスポーツ医科学の見地から故障の原因となる過度な練習を避け、科学トレーニングで合理的に効果をあげるとともに専門的知見を持つ保健体育教員や養護教諭とも連携していく

  • 適切な休養日等の設定

- 1週間に2日以上の休養日を設ける(平日に1日以上、土日に1日以上)

ー 1日の活動時間は平日に2時間、休日は3時間程度にし、合理的・効率的な活動を行なう

ー 夏休みなどの長期休暇中も休養期間を設け、運動部活動以外にも多様な活動ができるよう配慮する

  • 生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備

- 生徒の多様なニーズに応じ、適度な頻度で友達と楽しめる運動部を設置したり、地域のスポーツクラブなどと連携し、スポーツをする環境を整備する

  • 学校単位で参加する大会等の見直し

- 単一の学校からの複数チームの参加、複数校合同チームの全国大会等への参加など参加資格のあり方や、大会自体も過密な日程などで参加することが生徒の負担とならないよう大会の統廃合を進める

 

このように、部活動のあり方も変わっていく現代。「スポ根」部活動は過去のものになっていくかも知れませんね。

 

 

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