なかなか日本語が話せない子どもの理由

日本の学校に転校して、日本語を習得しようとしない小学3年生のお子さんがいます。その子に「どうして日本語を勉強しないの?」と聞くと「ママとお話出来なくなるから」と言います。
お母さんが「日本語覚えると中国語を忘れるからママとお話出来なくなるね」といったそうです。
確かに新しい言語を急激に習得するとき母語が出てこなくなる時期が生じることがあります。
日本の学校に入れた以上、学習は日本語で行なっていくので日本語が出来なければ年齢に応じた教育が受けられません。
このケースでは、母親に学校に来てもらいお母さんの影響でお子さんが日本語習得を拒絶している現状を伝え家庭内でお母さんも日本語の勉強を子どもと一緒に取り組んでもらうようお願いしました。

日本語を学ぶとママに嫌われるという不安がなくなり子どもも日本語の勉強に前向きに取り組みだしました。
その後、母親は日本語がほとんど出来ないままでしたが子どもは日本語に困らなくなり学校の勉強にも追いつき母親とは中国語で会話しています。

日本の学校に転校して、学校に馴染もうとしない小学5年生のお子さんがいます。
その子どもに日本語を勉強したくない理由を聞くと「日本語が出来て友達ができるとこのまま日本に居させられてしまう。
日本に来る前に『日本の学校で生活してもしイヤだったら元の生活に戻してあげる。』と約束したから」 と言うのです。

学校に保護者に来てもらい真意を聞くと、国の祖父母に預けられなくなったので一緒に日本で暮らすことになったとのことでした。
家族でこれからの日本での生活を話し合ってもらい、子どもは頭を切り替えることが出来、日本語習得や友だちとの交流に向かうようになりました。

似たケースに「日本の学校み馴染めなかったらインターナショナルスクールに行かすから日本の学校で頑張って」と転入させ
るケースがあります。(実際にはインターナショナルスクールに通わす予定はない。)
良かれと思ってのウソが子どもの行動に大きな影響を与えていることがある、という話でした。

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