”宿題”が親子のコミュニケーションのツールに?一緒にすすめる教育

2019/01/21

2019年、あけましておめでとうございます。
怒涛の師走が終わり、家族でテレビを見たり、ゆっくりできたお正月も過ぎ去り、一年がはじまりました。
指導員からは「インフルエンザで学級閉鎖だそうです」「児童が風邪でお休みです」など、続々体調不良の声が届いています。みなさまもお身体ご自愛くださいね!

2019年は冬休みが1月7日まであった方も多く、ゆっくりできた方も多かったのではないでしょうか。
お子さまはきちんと冬休みの宿題を終わらせて、新学期を迎えられましたか?(冬休み最終日に頑張った子もいると思います。お疲れ様でした!)

今日は、最近の小学校の「宿題」事情について、現役小学生をもつ親の目線からお伝えしていきたいと思います。

小学校の宿題ってどんなもの?

まず、わが子たちが小学校に入学して驚いたことは「毎日宿題が出る」ということでした!
親である私はゆとり教育の先駆け世代でしたので、小学校で宿題というもの出された記憶はありません。
「お母さんは学校終わって、毎日公園で思う存分遊んでいたよ」・・・なんて子供にはとても言えません。笑

なので、入学後まもなくわが子が持って帰ってきた「宿題」を見て、最近の小学生はよく勉強するんだなぁ~と感心したものです。

入学したての頃は、ひらがなのプリントや簡単な算数(いくつあるか数えて数字をかいたりするもの)のワークシートから始まります。

そのうち、「計算ドリル・漢字ドリル・音読」の3点セットが基本的に毎日の「宿題」になります。ここに週末には「日記」が入ってきたりします(テーマは決まっていたり、自由だったり・・・)。

この「宿題」、話によると学校や学年で決められてるものではなく、担任の先生の裁量によって内容も量もかなり変わってくるようです。
わが子のクラスでは「毎日必ず計算ドリル1ページずつ、漢字は2文字づつと熟語と文を自分で作って書いてくる、音読、週末は必ず日記」でしたが、となりのクラスのお母さんに聞くと、「うちのクラスは音読はないよ~。日記も出されたことない!」とのこと!
てっきり、同じ学年であれば宿題は同じものが出されていると思っていたのでびっくりしました。

おもしろい宿題というと、今のわが子の担任の先生はこどもの自主性を重んじる先生なのですが、毎日の宿題とは別に自分でオリジナルの宿題を考えるというものがあります。

内容はなんでもいいのです。

市販のドリルや、自分が興味あることについて調べたり、日記をかいたり、自分のサインを作ってみたり、歌を作ってみたり、こんなのあったらいいなと絵を描いたり・・・。しかも、やってもやらなくてもいいという自由さ!笑

わが子はこの宿題が大好きで、今は「慣用句博士」を目指して、毎日慣用句を調べてはせっせと書いています。

 

「宿題」はこどものもの?親のもの?

 

宿題といえば、こどもが自分でやるものでしょ?そして先生が丸付けして、返してくれるのよね~。
と、思っているそこのお母さん、お父さん!!

何をかくそう、私もそう思っていた親のひとりです。
しかし、今の「宿題」は親の「宿題」でもあるのです。

わが子が入学して初めての学年だよりにこんな1文が太文字で掲載されていました。
「宿題の丸付けは保護者の方がおうちでしていただき、”間違いなおし”までしてから学校に提出してください。」
なんですって?!もう何回か丸付けせずに提出してしまいました、すみません。

とりあえずお知らせに向かってあやまり、続きを読みすすめると、

「間違いは赤えんぴつでなおすのではなく、間違った答えを消して、えんぴつで正解になるまでなおしてから青えんぴつで丸をつけてくださいというなんとも複雑な丸付けシステムの説明が書かれていました。

「間違えたら答えを消さずに必ず赤えんぴつでなおしなさい」と学校で教えられてきた私はこの丸付けシステムになれるまで少々時間がかかりました。
そもそも青えんぴつを使う習慣が今までなかった・・・

 

さらに、親なしでは成り立たない宿題「音読」

「音読カード」というものが配られ、子供の音読を聞いて親が声の大きさ、発音などを評価して、コメントしたりサインしたりします。

題材は、詩のような短いものから、教科書の文章、新聞の記事などさまざまです。
回数は決められていたり、こどもが自分で決めることができたりするのですが、たくさん読んだ人はカードに先生からシールを貼ってもらえると知った日には、急に「今日は50回読む!」とか言い出し、その50回を延々と聞いていなきゃいけない私・・・そんな親の忍耐力が試される時もあります。笑

今は学年も上がったので、そんな突拍子もない回数を読むことはありませんし、私もわが子の音読をオーディオブックのように毎日楽しませてもらっています。

次に気になるのは、親が宿題の丸付けをするのは何年生までか?ですね。
これも、学校と先生によって多少違いがあるかとは思いますが、わが子が通っている学校は6年生まで。(ひえ~)

高学年になったら、自分で丸付けの学校もあるそうです。

 

宿題を通して親が子供の学力を把握することが目的

以前は宿題も先生が丸付けしていました。では、なぜ親が子供の宿題の丸付けや音読チェックをするようになったのでしょうか。

とある小学校の先生に聞いたお話によると、親が日々の宿題に関与することで子供の学力を知ることができる

以前は学習が遅れている子供がいると、先生はその子につきっきりでクラス全体の学習進度が遅れてしまうという問題があったそうです。宿題を通して親に自分の子供が今どんな勉強をしているのか、どこでつまづいているのかを知ってサポートしてもらうことでクラスの学習をスムーズに進めていくという目的があるそうです。

なので、先生によってはこどものノートのチェックまで推奨してます。

以前は1年に数回しかなかった授業参観も、最近は学校公開という名前で毎週のようにあったり、学校公開期間以外でもほとんどの学校がいつでも保護者の参観を受け入れてくれます。

これも親の宿題チェックと同じように、わが子の学校での様子、クラスでは今どんなことをしているのか、学習で理解できていないところはないか・・・など知ってもらうために保護者が学校に足を運べる機会を増やしているのだそうです。

私たちの時代は、学校に入れば子供はほとんど学校におまかせ、日々こどもたちが学校で何をしているかはよくわからず、親は年に何回かのイベントでしか子供の様子を知ることができませんでした。

その点、今は学校と家庭の距離がとても近くなっており、先生と保護者で協力して子供たちを育てていこうという考えにシフトしてきている気がします。

親の負担は増えますが、わが子が楽しそうに「今日はこんなことを勉強したんだよ~」と話すのを聞きながら、宿題チェックをするのはわが家では親子の大切なコミュニケーションの時間になっています。

 

そうは言っても、親が宿題をチェックすることが難しい場合も・・・

日本の子供たちにとってはなじみのある宿題ですが、最近増えている外国から来た子供たちにとっては日本の「宿題」に関して戸惑う場面がよく見られます。

まずは、こどもが日本に来たばかりで全く日本語の読み書きができない状態のときは、もちろん宿題どころではなく、日本語の習得が優先になるのですが、
ある程度日本語力がついてきた子の場合は、本人はがんばれば宿題をこなせるだけの能力があるのに保護者が全く日本語がわからないために、チェックができないことがよくあります。

例:ひらがな・カタカナもすっかりマスターし、単語や文もスムーズに読める小学校1年生のA君。

担任の先生に聞くと、計算ドリルや漢字ドリルはやってくるのに、音読の宿題だけいつもやってこないといいます。
題材も難しくなく、A君なら読めるレベルのものでした。
ある日「なんで読めるのに音読やらないの~?」と聞くと、「お母さんもお父さんも日本語が話せないから、読んで聞かせても何もわからないから。」と。
A君は音読をやらなかったわけではなくて、保護者が音読カードに記入することができなかっただけだったのです。

その話を聞いてから、私はA君に音読カードを作り、毎回A君の日本語レベルにあわせた音読の宿題を出すようにしました。

自分で家で練習し、読んだ回数の○をぬって、次の授業で練習の成果を発表してもらいました。上手に読めたら、小さなシールをカードに貼ってあげるととてもうれしそうにしていたのを覚えています。

その日からA君は毎回欠かさずに音読の宿題をやってきて、私がたまに宿題を出すのを忘れていると「先生、今日は音読の宿題ないの?」と自ら催促するまでに。笑
指導が終了するころにはかなり長い文章も上手に読めるようになっていました。

 

私たちグローバルラングの日本語指導員は、日本語の指導の他にも外国からきた子供たちが日本の学校生活に早くなじめるように色々なサポートも行っていますので、学校の先生や保護者のかたもわからないことや困ったことがあれば、ぜひ相談してみてくださいね。

グローバルラングのサービス一覧